どうやら世間では「識学」が流行っているらしい。
この「識学」 株式会社識学というところで、すごい速さで上場もしていて、会社の社長やマネージャーにすごいことを教えているらしい。たとえば性善説でも性悪説でもなく、性弱説で考えろ。とか。社長の本がめっちゃタメになるらしい。上場したときは株価の期待値が異常だったらしい。この2年半は暴落して安定しているが。ブロックチェーンゲームのアクシーインフィニティーのチャートとどこか似ている。上昇時が。
ある日、大阪のシェアメイトが口癖のように「仕組化しないと結果でないと思ってるんで」「仕組でマネジメントや経営をすることが大事」と言っていた。流される子なので、調べると識学とやらを見つけた。一緒に住むとインサイトの特定は瞬時に終わるので、ここは割愛
それがキッカケで、もしやこの「識学」というもの、価値観を分断する戦犯になるのでは?と香ばしく匂いリサーチをした。令和の虎という番組の出演者インフルエンサー社長が「識学」をつくった社長さんに物申していた。リアルタイムに。
ポジションを明確にしておくと、ぼくは完全に「属人的」派閥だ。ブレることは絶対に無い。仕組化などあり得ない。その間で、みたいなバランスが大事とかも無い。それは【人が好きだから】だ。それ以上でも以下でもない。目標を定めて結果を出すときに一番大事にしていることは自他共にモチベーションだ。
基本的に「熱狂」や「好き」の生み出すパフォーマンスに勝てる概念はないと信じている。好きになった人がタイプだし、好きな食べ物の理由はないし、関わってる人たち一人一人に意味付けなんてしない。人が好きであり、熱狂やモチベーションの渦中にいたい。それがすべてのエネルギーとなり伝染し、人を動かし文化をつくる。
識学の25問テストをやってみたが、途中でやめた。質問と回答に本を買わせようとしたり、識学が素晴らしいという意図を察知したのと同時に、つまらないと感じたからだ。必要でもつまらなければやりたくない。やりたいことが無限にあるから。それ以上でも以下でもない。言いたいこと、やりたいことはわかるが本心から納得した内容は一つもなかった。
ぼくは昔から人間観察をして生きてきた。中学生の頃、茅ヶ崎駅のペデストリアンデッキの喫煙所でじっとして、サラリーマンや主婦や同い年くらいの子が、なにを考えてそこを歩いているのか、どんな気持ちで今生きてるのか?に興味があり45分くらい分析したりしてた。人が好きなのと同時に、人のことを【感覚】で理解するのが好きだった。今でも役に立っている特殊能力で、多くの人とはじめて会ったときにぼくが感じた理想の関係性を、ぼくはそのまま続けることが多い。それは、出会う前に感じた気持ちにある心の揺らぎが真実だと思っているから。感覚で理解する作業が死ぬほど楽しくて、どんな時でも熱量をもって人とコミュニケーションを取るようにしている。この楽しさと天秤にかけたら、何かのプロジェクトで失敗することなど小さな不安だ。不安がないのではなく心底楽しいのでヒューマンエラーで悩むとかの次元じゃない。
人が好きなのに、仕事では仕組みを選ぶのは、優秀になりたいという世界の勝負をしているのだろう。ぼくにはこの気持ちがわからない。たとえば履歴書に傷がつくとか、よくわからない経歴があるのが嫌だとか。この10年間ビジネススクールの経営をして、要するに自信がない人、優秀じゃない人をお客さんにする商売の中心にいて、情報商材や危ない匂いのするビジネス(だが安心する、救ってくれる人と接触できる)を買ってしまう人の気持ちがわかるようになった。社会の中心はここで外してはいけない。綺麗事が好きだったり、口コミを信じたり、自信がなかったり、周りの目を気にする人たち。識学もそう。なぜこういうものに興味を持つのか? 少なくとも自分の人生にそういう類の商材が主体性をもって登場してくることはない。理解し難いので、そのマーケティング手法やサービスを大きくしてきた過程を学んでいる最中だ。
結果、上場までしているので良いサービスなのだろう。かなり大胆なCMを売ったり、本をベストセラーにしたり、YouTubeで検索すると9割はコラボ動画か自社のコンテンツになるよう作ってあったりと、プロモーションに多くのお金をかけているのだと分かった。これにハマる人の傾向も掴めた。
この手法は、ダイレクト出版さんやインフルエンサーマーケティングの仕掛けに近いなと感じた。ビジネスシーンはP2Cと識学で二極化する。いつの時代も質の優劣はあれど、このような「お金を払うだけで変化できる」系のサービスは出てきては、多くの人が依存するのだな。
ぼくはそもそもビジネス書をあまり読まないようにしている。たとえばユニバのマーケティングがどうこうみたいな本も実は読んだことがないし、ビジョナリーカンパニーも、1億ドルコーチみたいなのも、伝え方が9割も、ファクトフルネスも、ほとんど積読だ。しかしそれが一番費用対効果がいいと思っている。会話ができて席に座れれば、それを学んだ優秀な人と熱弁できるし、実践にちなんだ要約が摘める。だから本は買いまくるが、1割以下しか読まない。内容は理解しているし学習できている。ティール組織だって読んだことがないがプレゼンできるし、実践していると話せる。識学もそういう類のものだろう。真面目に取り組むものじゃない。すこし俯瞰で察知し、変化するマーケットを分析し、空気を読んで、人が作ってくれたそのテーマにあやかる。「鬼滅の刃」みたいなもんだ。
世の中には、とりあえずやっておいた方が良いものは膨大にある。重要なのはオリジナリティの創出だ。高級スーパーに売ってる食材を使って料理すれば、誰だって美味しいものが作れる。クックパッドを1時間眺めてから一つ一つ監督指導のもと作れば、誰だってカレーができる。しかし、ぼくが面白いと思うものは「創作料理」だったり「属人的に生まれる何か」であって、識学的な考え方と同じように今の時代にひとつ大きな歴史を残しているのが「P2C」だ。
P2Cでクリエイティブする脳みそを、とりあえずやった方が良いものや、一理あるからちょっとは同意するものでマインドシェアを埋めないこと。
現代でアップデートを重ねたいなら、これが重要なのだなと、また一つ空気を読めた。
ありがとう智也くん。