救急車に乗ったのが数時間前のようだ。ほんとうは3日前。仕事の打ち合わせ中、意識が遠のいた。
「あ、ヤバい。死ぬ。」危機センサーが鳴った。できる限りのエネルギーを目と脳に使い、横になることができた。これが何度か繰り返した。大事を取ってその場にいた会社の社長に、救急車を呼んでもらった。
「酸素濃度も足りてますし、血圧も正常です。」
人生で初めての体験中、2つの物語が脳内を駆け巡った。1つは病院のたらい回しのち、危篤状態の難病で数カ月病院生活の自分。2つ目は自律神経失調症の自分。パニックになることはあまりない。自分の身体に驚いた半面、焦らない性格に安心した。
僕はスーパー堅実で、普段からピンチにならないように立ち回る。MRIを撮ってもらった。結果は正常。副鼻腔炎だけ発覚した。咳がひどくてフラっとしたのも事実。お医者さんはこう言ってくれた。「数時間立ちっぱなしや、交感神経が持続したあと急に緩和すると、意識を失うことは″異常″がなくともあり得るよ」スタンディングデスクで朝7時から13時まで打ち合わせ。咳よりこれが原因だろう。
そんな数日後のこと(昨日)ドン・キホーテまで車を走らせた。「カクテルパーティー人狼」という企画の準備で、リキュールの買い出しへ。車内はひとりだった。僕は糸島やニセコに住みたい仕事柄、田舎をひとりで爆走することは多い。19歳で日本一周もしたし、11年間事故ゼロの優良運転手。先日も大阪で駐禁は取られたが。しかし怖いことにも、同じ現象が車内で起きた。
「あ、ヤバい。意識が遠のきそう。」
運転中だった。身体が癖になっているのか?定かではない。ただそれ以上に「今の自分は健康ではない。」と確信した。ちょうどドンキに着くところだったから最後に集中して耐えたけれど。もしこれが高速長距離ドライブだったらと思うと、ゾワッとする。
ぼくは風邪を引いたら1週間は治らないし、虫歯は常に何本もある。レーシックもしてて、20歳までは「とびひ」に悩まされた。しかし、夜行バスに年間86回乗ったり、30歳で真夏にママチャリで関東から最北端まで爆走したり、老いとともに自信がついた矢先だった。なのに、意識が遠のく原因不明のメンタルにまつわるような弊害に見舞われている。この数日、自分の使いかたを反省した。ゲームで例えるならば、「攻撃・HP」にステータスを振るよりも「精神・勇気」にステータスを振ったほうが良いんじゃないか、みたいな。僕はエアリスよりティファのが好きだし、綾波より式波が好きだ。どうしようかと悩んでいる(ほんとうに難しい問題だ)
なんやかんやで、ぼくは直感が鋭いし、原因はわかってる。「やりたいことだけで生きていけるようになった」だから急に、意識が遠のいたり、最近忙しくなった。睡眠時間は8時間をキープしていたのに5時間だし、忘れ物が増えたり、お金を使うことも増えた。自分語りをしたいわけじゃない、本当に心から感じたのだ。僕はスマブラが仕事になってしまったんだ。
「ゲームは一日一時間」
かつてゲーム脳というクソみたいな陰謀がテレビやニュースに取り上げられたのを今噛み締める。
「俺は今、ゲーム脳なんだ。」
ADHDでも、自律神経失調症でも、睡眠時間でもない。原因はゲーム脳。健康には気をつける。ストレスでハゲないようにしたい。お金も時間もプライベートも大切にしたい。心から思うけれど、それでも、やめられないゲームが目の前にある。
ゲームは一日一時間。開発者の宿命。自分という人間が普遍的な人であるために、地に足をつけながら、宙に浮いたことをやっていこうと思う。
セーブのできない残1機で、ベリーハードな人生を歩んでいる。
※この物語はノンフィクションです