From アミューズ

Amuse!という面白い友達や趣味をつくれるコミュニティを運営していて、今もモノポリーというボードゲームで遊んでいる。
2023年まで10年間経営していた月額会員制ビジネスコミュニティでメインの育成商材にしていたのがこのモノポリー。「2時間で1回起業体験」というファイナンスプログラムとして導入し、人材育成と初学者ファイナンス教育として主にコミュニティ内でのコンテンツとして定期実施をしていた。
昔はクローズドコミュニティのような扱いをしていたし、受けていたと認知し従事していたが、時代は平成から令和へ。世界はオールグリーンへと移り変わった。透明性の低い、曖昧な矛盾をはらんだコンテンツは排除される時代になった昨今、堂々と起業家育成事業を銘打ってサービス運営していた身としては、日本の起業家マインド増加そして、ちいさな社会の革命のためにファーストペンギンとして、書いてみようかなと思う。関係者が大きな目をしたならばそれは、世代交代の合図かもしれないし、僕は恩師に「半年後に腑に落ちる人が多い」と学んで育ち、今は「それをする側」にいる。
僕は事業ドメインもコンセプトも変えて、「交渉術」や「思考回路」を共有をする遊びにしたこのモノポリー。前職のコミュニティでは会社を持っていないが起業家と言っている大学生や、綺麗な履歴書を親に作られた若者が独立の登竜門として、サービスを受ける生徒として挑んできた。意味のわからない話かもしれないが「モノポリーをするために航空券を取ったり、夜行バスを取ってくるお客さんがいるのだ」それだけ革命的なコンテンツだと認識しているし、こういうものを流行らせる文化や概念こそが世界を変える教育リーダーだなと心底思う。一体誰が流行らせたのだ。実は刀は腰に差したままでいる。
モノポリーはボードゲームなので、カバンに入るし持ち運びやすい。ヤマダ電機とかAmazonで2000円くらいで買えるから、コンテンツにしているのだが、お客さんであるコミュニティメンバーはみんな学校帰りや仕事終わりに買ったり、自分で持ってきてくれたりしてコンテンツが成り立っている。こういう所作の積み重ねこそが素晴らしい環境というやつだろう。当時暮らしていた新宿の事務所という名の毎日修学旅行の「無限ハウス」、共同経営で借りてた「東新宿のタワマン」、工学院大学の地下1階や日本大学の学食、参宮橋にあるオリセンのD棟、文化服装学院の食堂カフェ、俺達の賢者屋、渋谷キャンパスプラスなど、
たくさんの場所でモノポリーをした。もはやモノポリーをするために生きている節まであったし、たぶんビジネスの勉強というのは建付けで、ただのモノポリーサークルを楽しんでいただけなんじゃないかと思っている。僕は、そんなボドゲのコンテストを勝ち抜いては、生徒であるコミュニティメンバーの彼らに雷を落とし、ゲームがきっかけで現実で弟子を作りまくるというマジで謎の仕事をしていたのである。
同条件で、それも資本の回転率を計算すれば勝敗がつく。数字で根拠が証明でき、論理で否定しにくい。オリジナルナレッジかつ講師の質に依存するので、表層化したコンテンツだけ持ち出されることも少ないので競合優位性も高い。魔力のような教育コンテンツ。あれは一体なんだ。モノポリー。ゲームで強いだけで、現実世界のビジネスのフィードバックをすべて求めてくるほど訴求ができるのだろうか。
ゲームが人を本気にさせる魅力に惚れている昨今。しかし間違いもある。10年間の従事で、延べ人数ではなく、生身の人間と500人はテーブルを向かい合い人生をモノポリー教育に賭けた結論として、元々こういうのが強い人しか強くならない。マイナスは0にしかならずプラ転しない。教育コンテンツは1度で現実の世界が変わらない生徒は、優秀な先生や監督がついても、1週間で20回、1ヶ月で50回、5年とコミットさせても、少なくとも4桁のサンプルでは変わらなかった。1000回プレイしたり、10年教育すれば変わると僕は人類を信じているが、ユーザーが消費するコストが高すぎる。教育がコスパ悪いのではなくコスパが悪い人に教育は間違っているという真理すら、このモノポリーコンテンツから得た。
また、コミュニティを現場で11年も作っていると、先生と生徒などの師弟関係ではなく、芯の食った話を同じ目線で遊びながら楽しく刺激し合う余韻に価値創造の源があると気付ける。
「交渉」という概念を社会活動での原資として捉えられる。
高校の先生だって、将来不安な社会に出てない未熟な人間だし、二十歳で出会ったすごい経営者だって振り返ればちょっと話がうまかっただけだ。明らかに世界の解像感が高まっていないと知れないことを、知ってからなお感じる。フェーズが上がらない人が繰り返すキャリアや人材採用手段だろうし、3-5年ほどの中途半端に教育事業に情熱を注いで諦めた人がズレるとプロとして僕は感じる。
しかし、そのような現場から逃げず、サンクコストをかけきった教育者しか知らない考え方もあるし、それを公に言語化する人の少なさもまたあると思う。能ある鷹は爪を隠すが、僕たちは鷹になりたいわけではない。人類をアップデートさせたくて起業家教育に関わっていた。
現在この「モノポリー」にアホほどハマっている21歳のAmuse!メンバーがいる。彼もまた、僕にBREAKING DOWNを申し込み、危うく師弟関係に洗脳仕掛けた生徒であり友達。高校受験でスタートダッシュを切っては偏差値70台の高校卒業後、大学などスルーし独立するべく単身アフリカに1年ほど飛んだり、IVSで人に話しかけまくったり、リスクを相当許容し一桁大きなお金を消費しては取り戻す台風みたいな10代を送ってはインフルエンサーを何度もピボットし、ようやく経営者に落ち着きそうになって20歳のルーキー。そんな彼にモノポリーという覚醒剤を与えたら、まんまと現実の「交渉術」や「思考回路」がみるみるうちに成長してしまった。モノポリーを遊ぶだけなのに、彼は本気で学びに来ている。不本意だ。
教育事業はやめて、ゲーム開発をしているのに。これがゲームの素晴らしさか。そんな彼はいま横で、ファシリテーターをやっている。ただの遊びなのに。人に教えるほうが「学べる」と思ったみたいだ。すごい話である。
彼のような日本を代表すべき若手の逸材にこそ提供すべきサービスそして起業家育成インフラが、このモノポリーのような暴力的コンテンツであったりすると思う。
余談だが僕は2023年で起業家育成事業の提供者、経営者としてこの社会から退いている。これは2014年に決めていた過去の自分との約束だ。ある業界だけに絞ったシード投資限定のVCキャリアとゲーミフィケーションとしてのコンテンツから、当時の情熱を味わうときは格別である。
僕に興味があったのは、教育ではなく、起業家育成だった。そんな青春を終えて、今度はゲーマーを育成していくのかもしれない。
世界を変える「ゲームチェンジャー」をね。